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結球性葉菜類(キャベツ・レタス・白菜)の保存方法

キャベツ・レタス・白菜などの結球性葉菜類は形状や保存に適した温度・湿度が似ていることから、同じ方法を使って長持ちさせることができます。今回はその方法と原理について説明します。

結球性葉菜類とは

結球性葉菜類とは、主に葉の部分を食べる野菜のうち、葉の部分が丸まって球のような形になっている野菜のことを指します。

結球性葉菜類に含まれる野菜としては、キャベツや白菜、一部のレタスなどの野菜があります。

ちなみに、レタスには丸くなるものとそうでないものがあり、結球性のものは「ヘッドレタス」と呼ばれ、普通にレタスとかサラダ菜として販売されています。また、結球性のないものは、日本ではサニーレタスやロメインレタスなどがよく店頭にならびます。

キャベツ・レタス・白菜の保存方法

前述の通り、キャベツ・レタス・白菜などの結球性葉菜類は形状や保存に適した温度・湿度が似ていることから、同じ方法を使って長持ちさせることができます。

必要なのは以下の4つのステップです。

  1. 芯の部分を爪楊枝などを刺す
  2. キッチンペーパーか新聞紙で包む
  3. ビニール袋で包む
  4. 冷蔵庫の冷蔵室(または野菜室)で保存する

以下で具体的な方法を説明します。

1. 芯の部分を爪楊枝などを刺す

キャベツ・レタス・白菜の芯(茎)に爪楊枝などを刺し、奥まで差し込みます。三本程度刺しておくと確実です。

レタスの場合は茎が比較的柔らかいので手だけで奥まで差し込めますが、キャベツや白菜などは固いのでなかなか入りません。

そこで登場するのが木べら等の柄の長い得物。打ち付けられるものであればなんでも構いませんし、ハンマーを使ってもOKです。

注意ポイント

打ち付ける道具が木べら等の柔らかい素材場合は、打ち付けた際にへこむ可能性があるのでご注意ください

ハンマーの要領で叩きつけて差し込んでいきます。途中で爪楊枝が折れてしまった場合は、折れた部分を取り除いて差し込み続けます。

根元まで差し込めました。

白菜の場合も同様に差し込みます。キャベツに比べると水分が多い分、爪楊枝は差し込みやすいです。

2. キッチンペーパーか新聞紙で包む

次に、キッチンペーパーや新聞紙などの紙で野菜を包みます。

キャベツやレタスの場合は全体が覆えるくらいの大きさに切り、特に葉の部分が包まれるようにします。

白菜の場合は横を一周させ、上下に当ててやると全体が覆えます。

3. ビニール袋で包む

紙で包んだうえからビニール袋で包みます。白菜の場合はスーパーの袋などでもかまいません。口はぴったり閉めず、軽く開けておきます。

4.冷蔵庫の冷蔵室(または野菜室)で保存する

最後に、冷蔵庫に移動させます。

キャベツ・レタス・白菜は野菜室よりも低い温度の冷蔵室で管理するほうが好ましいですが、温度が10℃未満であれば冷蔵室・野菜室どちらでも保存可能です。

キャベツ・レタス・白菜の鮮度劣化はどのようにおこるか

さて、ここからはなぜこのような方法で保存するのか、野菜の収穫後の生理をひもときつつ対応の理由について説明していきます。

まずはキャベツ・レタス・白菜の鮮度劣化がどのようにおこるのか、野菜の生理について見ていきましょう。

キャベツ・レタス・白菜はそのままにしておくと、どんどん鮮度が落ちていき最終的には腐るなどして食べられなくなってしまいます。野菜の鮮度劣化はどのような要因が関係して起こるのでしょうか。

鮮度劣化の要因として考えられる「呼吸」と「蒸散」、「生長(成長)」の3つを観点にそれぞれ確認してみましょう。

呼吸

野菜は収獲された後も「生きて」います。ですから、なんとかしてエネルギーを得て自分の体を保とうとします。

通常、野菜は水と二酸化炭素、光を得て光合成をしたり、根から養分をとることで自分の体を生長させていきます。しかし、収穫後はエネルギーにつながるこれらの要素がほとんど断たれてしまうので、体を維持するために「呼吸」を中心にエネルギーを得ようとします。

呼吸は「糖と酸素から二酸化炭素と水、エネルギーを得る」ことですから、光合成などで蓄えられた糖が収穫後はどんどんなくなっていき、鮮度が低下していきます。

蒸散

野菜はほとんどが水分であり、この水分が失われると鮮度に影響が出ます。この水分を失う主な原因となっているのが「蒸散」です。

蒸散とは「植物から大気中へ水蒸気が放出される現象」のことです。主に気孔が集中している葉の裏側から水分が蒸発するので、葉の面積が大きいキャベツ・レタス・白菜などの葉物野菜の鮮度劣化に、この蒸散が深く関係しています。

したがって、この蒸散をいかに抑えるかが、葉物野菜を保存する際の大事な要因となってきます。

生長(成長)

野菜は収穫後も生長が起こります。

キャベツやレタスを半切りにして数日間置いておくと中心の部分が盛り上がっていたり、ネギを横にしたまま保存して置いたら曲がって伸びていたり。保存中にも野菜の生長を実感することがあると思います。

このように、直接根から水や栄養分を取り入れていない状態でも、体に蓄えられた糖や空気中の二酸化炭素、わずかな光などをもとに野菜は生長を続けていきます。

生長することで水分や糖が消費されてしまうので、野菜全体としての鮮度は悪くなってしまいます。

キャベツ・レタス・白菜の鮮度劣化を少なくするには?

これまでキャベツ・レタス・白菜の鮮度の劣化の要因となるものを確認しました。これらの要因が起こらないような対応を取れば鮮度の劣化を食い止めることができそうです。

では、どのような対応をとればよいでしょうか?考えられる対応方法を見ていきましょう。

温度を低くして呼吸と蒸散を少なくする

野菜を保存する際に一番気を付ける必要があるのが保存温度です。適切な温度で野菜を保存すると、呼吸速度や蒸散速度が遅くなります。

しかし、ただ単純に温度を低くすればよいということではありません。野菜には保存するのに最適な温度がそれぞれにあります。

野菜によっては生理的な障害を引き起こして品質が悪くなってしまう場合もあり、このような障害は「低温障害」と呼ばれています。もともと熱帯の植物だったトマトやナスなどは低温障害が起きやすいようです。

また、凍結させると今度は野菜の組織の中の水分が凍結して細胞が壊れ、食感の悪化や調理時の水分流出にもつながってしまいます。

したがって、凍結や低温障害が起こらない程度の最適温度で保存する必要があるのです。

キャベツ・レタス・白菜に関しては、貯蔵最適温度は0℃付近とされています。これは冷蔵庫のなかの「冷蔵室」の設定に近い温度です。

湿度を高く保って水分損失を防ぐ

温度と合わせて気を付ける必要があるのが保存環境の湿度です。

一般的に湿度が高いほうが水分損失が少なくなるので、湿度を高く保った環境が野菜の保存には適しています。特にキャベツ・レタス・白菜などの葉物野菜は水分が失われることで食感にも悪い影響が出るので、なるべく水分損失が少なくなるような環境で保存する必要があります。

ただし、家庭の一般的な冷蔵庫の機能では野菜毎の適切な湿度を管理することは困難です。基本的には冷蔵庫内の湿度は野菜にとっては低いのでそのまま保存するのではなく個別に対応することになります。

キャベツ・レタス・白菜に関しては、貯蔵最適湿度は100%付近とされています。したがって、ラップや濡れた紙(新聞紙やキッチンペーパー)などで包んで保存することで、適切な湿度に近づけることができます。

生長点の機能を止める

鮮度劣化の要因として「生長」がありました。この機能を止めることで鮮度劣化を防ぎます。

野菜には細胞が生まれてくる部分が特定の部位に集中しており、これを「生長点」と呼んでいます。この生長点を取り除いたり機能させないようにすれば、野菜の生長はかなり抑えられることになります。

結球性葉菜類(キャベツ・レタス・白菜)の生長点は結球のちょうど中心の部分で、芯の一番先に相当します。

芯をくりぬいて結球の中心に近い部分を取り除いくことで生長を止めることができます。

その他の方法として、芯に傷をつけることでも同様に生長点の機能を鈍らせることができると言われており、包丁で芯の中を傷つけたり、爪楊枝などを芯に何本か突き刺す方法等が知られています。

適度な酸欠状態に陥らせて呼吸を抑制する

野菜は環境中の酸素濃度が低く、二酸化炭素濃度が高くなると呼吸が抑制されます。

ビニール袋などに入れたあとに縛るなどして酸素が意図的に入りにくい状態にすることで呼吸を抑制させることも可能です。

しかし、この方法は諸刃の剣でもあります。野菜も極度な酸欠状態が続いた場合、無呼吸状態になって異臭が発生したりまずくなってしまったりすることがあるからです。

適度に空気の入れ替えをしたり、酸素と二酸化炭素が適切な状態に維持できる「鮮度保持袋」の使用が必要になりそうです。

この方法で鮮度が保たれる理由は?

ここまで野菜の収穫後の生理とそれらについての対応を見てきました。ここで原理と今回の保存方法を照らし合わせてまとめたいと思います。

今回紹介した4ステップでキャベツ・レタス・白菜の鮮度が保たれる理由は以下の通りです。

  1. 芯の部分に傷を入れることで生長点の機能を止めていること
  2. 紙とビニールの組み合わせで野菜の湿度を保って水分の減少を抑制していること
  3. ビニール袋の中に入れていることで適度な酸欠状態を保ち呼吸を抑制していること
  4. 冷蔵庫に入れることで野菜の温度を低く保ち呼吸と蒸散を抑制していること

芯に切れ込みを入れたりくりぬいたりしない理由

今回紹介した方法では「爪楊枝などを芯に何本か突き刺す方法」を紹介しました。同様の理屈で「包丁などで芯に切れ込みを入れる方法」や「芯をくり抜く方法」などが広く知られています。

今回紹介した方法でこれらの方法を使わない理由は、野菜へ損傷ストレスが大きいこと、傷の部分から腐食する可能性が高まるからです。

野菜はストレスに対応して呼吸を早める可能性があるため、大きなストレスを伴う損傷は最小限にすべきです。

また、切れ込みやくり抜きを行うと損傷の断面で菌が繁殖する可能性があり、その部分から腐食が始まってしまうことも考えられます。

参考文献

[1] : 青果物の鮮度に関する収穫後生理学 食糧-その科学と技術- No.56 永田 雅靖

[2] : キャベツの芯は茎?それとも葉? NHK テキスト

[3] :野菜の最適貯蔵条件 農研機構サイトより

[4] : 鮮度を保つ仕組み 住友ベークライト株式会社 P-プラス®説明サイトより

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